風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

バッハ=ヘス:主よ、人の望みの喜びよ

ピアノを弾くときはこの曲を最初にゆっくりゆっくり弾くことにしている。実際の演奏速度よりずっと遅く、それも小さな音で。自分の普段の行いを悔い改めるとか(苦笑)、手を温めるとかそういう意味ではなく、この曲を弾くことで心が落ち着き、音楽に入り込める気がするので。

この曲はバッハの教会カンタータ(BWV147)をマイラ・ヘスがピアノ編曲したものなのだが、ピアニストのヴィルヘルム・ケンプが編曲したバージョンもある。そちらの楽譜も持っていたので今日、弾いてみたのだけれど、ヘス編曲のものに比べてコラールの部分で重低音を多く使うドラマチックな編曲になっており演奏難度も高い。神への強い信仰心を高らかに歌い上げるような編曲で、ヘスの穏やかさ、心の温もりと静かな信仰心が前面に出た編曲とはかなり違う。世界中のピアニストの殆どがヘス編曲のほうを弾いているのもむべなるかな、と思った。こちらがケンプ編の最終部分。

演奏ではザッハリヒな中にも温かさと誠実さを失わないリパッティの演奏も名演と思うが、ここでは編曲者であるヘス本人の演奏を推したい。

pf. ディヌ・リパッティ

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pf. マイラ・ヘス

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