5月のフィリピン遠征での目玉となるターゲットのひとつがパラワンコクジャクという小型の孔雀だった。この鳥は非常に美しい鳥で世界中のバードウォッチャーが一度は見たいと憧れる鳥なのだが、とにかく出会うことが非常に困難でパラワン島の未開のジャングルの奥を彷徨して偶然出会う以外見ることが不可能だった鳥だ。それが比較的見やすい個体(露骨に言うと人による餌付けに成功した個体)が1羽登場したことで、研究者以外でも見ることができるようになったのだが、その個体が2018年に落鳥(死亡)してしまったことでここ数年はバードウォッチャーにとっては「野生個体を見れない縁遠い鳥」になっていた。
昨年末にフィリピンのガイドさんから「見られるポイントがあるらしい」との情報が寄せられ、僕達もパラワン島を訪れた際にそちらでパラワンコクジャクを見ることが出来(この個体を見たのは僕達が日本人では初めてだったようだ)その美しさに大変感動した。以下に今回撮影した写真を少し上げておく。


さて、野生個体を見ることが極端に難しいパラワンコクジャクだけれど、日本国内の動物園では数個体が飼育されている。帰国後、大阪の天王寺動物園のパラワンコクジャクにこの春に雛が生まれ、展示が始まったという情報があり、見に行った。

雛はまだ小さく落ち着きがない状況だったがこれからどのように成長してゆくのか楽しみだ。
ところで、パラワンコクジャクの成鳥のケージへ行って見ていると雄が雌の近くを落ち着きなく動き回っている。見ているうちに雄がさっと尾羽を広げて雌にポーズを取った。これは孔雀の仲間が行う繁殖ディスプレイだ。自分はこんな美しい羽を持っている優れた雄ですよ、さぁ僕を選んでください!というアピールなのだ。見ているとこの雄は何度も雌に対して尾羽を開いてアピールを繰り返していた。


パラワン島のポイントでは見ることができなかった見事な繁殖ディスプレイを動物園のケージではあるけれども見ることが出来てとても楽しかった。