風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

ラヴェル「ソナチネ」第1楽章:舐めてかかって大苦戦

この楽章は以前気分よく弾いていたので楽勝で録音できるだろうと思い、2週間ほど前に試しに録音して愕然とした。全然ダメダメだったのだ。冒頭から全然ダメ。pやppで弾くメロディの部分以外の細かい内声の強弱、リズムとも凸凹して全く話にならない。以前弾いていたときは録音できないころだったので、「弾けている気分」で弾いていたわけだが、録音してみたら全然ダメということだ。やれやれ。。。

上の譜例の右手がすごく難しい。いろいろ試行錯誤を繰り返して原因のひとつはペダリングにあることが判明。ここの踏み変えは本当に繊細で耳を研ぎ澄まして踏まないとダメ。あとは指だけで弾こうとせずに手首の回転をうまく使って弾くことも必要かと。というわけで楽譜冒頭に書いているように「極くゆっくり」で目を閉じて(音に集中するために)この冒頭部分を繰り返し弾いている。Dr.Wrightが「この楽章の冒頭は『夜のガスパール』の『オンディーヌ』冒頭のpppの和音連打に匹敵する指のコントロールが必要」と言っていたのが腑に落ちた。もちろんスピードを落としたらこの問題は解決するのだが、残念ながらこの曲は一定以上のスピードで弾かないとダメ(内声の32分音符の奔流がざわめいているように聴こえないと。。)なのでその手は使えない。。

指のコントロールについてはこの譜例のイ長調に転調したフレーズ(13小節目から)にも言える。八分音符で速い部分でもないのだが、尖った音を出さないように四苦八苦。「指の腹で」と書いたが指の腹で慎重に打鍵してもキツい音になってしまうことも多々あり、逆に音が弱すぎたり抜けることも。ここも僕にとっては滅茶苦茶難しい。とにかくpやpp主体の曲は鬼門ですね。

音符通り鍵盤を押すだけならさほど難しくない曲だがラヴェルが弾き手に要求しているデリケートな指のコントロール力は半端ない。舐めてかかって大苦戦だ。今回はさすがに録音を出す気分になれないのでもうちょっと大人しく練習します。
ただし、たとえダメダメであっても近いうちに必ず演奏録音をポストしたいと思いますので、お楽しみに(って楽しめるのか?😅)