風の歌が聞こえますか

僕に聞こえてくる風の歌を綴ります。

フーガの技法

今朝録画した「クラシック倶楽部」はカザルス弦楽四重奏団の演奏するバッハの「フーガの技法」だった。聴いているうちに自分がいかにこの曲が好きだったのか、思い出がふつふつと湧き上がってきたのでここに書く。

最初にこの曲を聴いたのはグレン・グールドの演奏だったのではないだろうか?グールドは冷戦の最中の1957年にソビエト連邦のモスクワに出向いてコンサートを開いたのだが、そのライブ録音だっただろうと思う。このCDを聴いて衝撃を受けて自分もピアノで弾きたい、と思い楽譜を探したのだが、およそ30年前にはもちろん無料のPDF楽譜なんてなく、ブライトコップの原典版かペータースしか楽譜は売ってなくてそれもどえらく高い値段だった。お金がなかった僕は弦楽四重奏のポケットスコアを買い、自分で二段のピアノ譜に書き直して弾いたのだった。

今回、弦楽四重奏団の演奏で聴くとやはりピアノでこの曲を弾くのは相当無理がある、と改めて思う。弦楽四重奏ならヴァイオリン、ヴィオラ、チェロで音色が違うことが大きい。それとそれぞれの楽器で非常に繊細な強弱の変化をつけられる。どんな達人であっても10本の指でそのような芸当はできない。

それでもグールドの演奏を改めて聴くと、凄い!と思う。人間にこんな演奏ができるのか!特に36:57からのコントラプンクトゥスⅣは本当に凄いとしか言いようがない超名演だと思う。(このモスクワライヴはベルグソナタOp.1など他の曲も凄いのだが。。)

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