バッハの平均律クラヴィーア曲集の第2巻12番ヘ短調の前奏曲とフーガを録音しました。 ↓
前奏曲
この曲は「受難曲」と思っているのだが、弾いていて違和感があったのは繰り返し。前半・後半に繰り返し記号があるのだが、前半はいいとして後半を繰り返すのに違和感があった。曲想もそうだし最後69小節目に強烈な減七の和音があって悲痛な声とともに終わるようになっている。これをもう一度繰り返す意味が分からず、後半は繰り返しを弾くのをやめようと思っていた。
先日、あるプロのピアニストの方とお話する機会があったのだが、そこでこの疑問をぶつけてみたところ、(わざわざ楽譜を出して試弾までして下さって)、「一回目と二回目で違う物語として弾いてみるのもありでは?」とのご意見。なるほど、そういう考え方もあるな、と思って考えてみた。一回目は信徒たちが受難の嘆きを歌うのだが最後は哀しみに打ちひしがれ弱々しく嘆いて終わり、繰り返した後のニ回目は最初、少しだけ(復活の)希望にすがるように天を仰ぐが、すぐに「嘆きのモティーフ(以下楽譜の緑の音符)」が厳しく流れ、想いを打ち砕くように音楽が進み、最後は大きな嘆きと哀しみ(減七の和音)とともに終わる、という解釈でこの録音は弾いてみたがどうだろうか?まぁ僕の勝手な思い入れだけですが😅。

あとマニアックなこだわりですが、以下譜面の38小節の赤色の音符、音源を聴くと結構なピアニストが前のファの音のタイという解釈でこの音を弾いていない。だが、よく見るとこの音はソプラノでは確かにタイだが、アルト声部の音はタイではないので、弾かなくてはならないと考え僕は弾いた。リヒテルも弾いていないのでドキドキだが。。。😅

フーガ
フーガの構造より、とにかく本能に反した指使いと指替えに苦しめられた。普通に弾くとこうだろう、という指使いで弾くと指が足らなくなるという「バッハあるある」😅。この曲は高速で「テクニック見せびらかし曲」として弾かれることがあるのだが、僕はそれがすごく嫌で、曲想の動きとモチーフをできる限り表現しようと心がけた。八分音符を全てスタカートで弾くと単調でうるさくなる、と思ったので第三間奏では八分音符は極力レガートで弾いた。特に第ニ間奏の青線で囲ったフレーズ(以下譜例)などはちゃんとアルトが音型に聴こえるように弾きたいと思って頑張った(ネット音源でもソプラノとアルトがごちゃまぜに聴こえる演奏が多い)。とまぁ偉そうに言ったがキズも多いし大したことない演奏で終わりました🙇。フーガ主題の音符は赤色で、強弱記号は全部自分で考えたものです。

さて、2回続けて平均律の曲を録音してみたが、やっぱり平均律は難しいよなぁというのが正直な感想。バッハは平均律の副題に「クラヴィーアに熟達した奏者の慰めの為に」と書いたそうだが「下手な素人ピアノ弾きの苦しみのために」と書き直そうかな。。
ところで上に書いたピアニスト氏との話の流れで、今度、大曲に取り組むことにしたので、次のサイドメニューはもう少し気楽に弾ける曲にしようと思います。
平均律はちょっとお休み。